紙ひこうき

マーガレットが終わり、卯の花に続いて夏椿がほのかに咲き出した。ちぢみ模様の入った白い花びらのやさしい襞が、梅雨の雨に溶けて消え入るようだ。水気をたっぷりふくんだ蕾は、手をふれただけでぽろりと落ちる。散り急ぐ姿が、詩情をそそる〈落ちてなほ白く華やぐ夏椿〉▼過日の「夏目漱石の手紙と俳句新発見!」のニュースには驚いた。〈花の朝/歌よむ人の/便り哉〉は、手紙をくれた同僚への限りない友愛を、さりげなく俳句で表現したもの。折からの梅雨空に映え、白く咲く花と漱石の笑顔が浮かぶ▼梅雨どき、甘い香りで身体を癒してくれるのはクチナシ。我が家の八重はまだ蕾だが、一枚一枚の若葉が輝いている。この花が咲くと、立ち止まってその香りを存分に味わいたくなる。ほどなく一斉に花開くだろう。まさに青春そのもの。ヤマボウシ、タイサンボク、この時季に咲く花には白い花が多い。(I)

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Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。