★ねずみのとうさん アナトール
(イブ・タイタス 文/ポール・ガルドン 絵/童話館)
古い洋書絵本なのですが、パリで働くお父さんねずみの物語で、おしゃれな絵本です。
ねずみのとうさんたちは、毎晩自転車に乗って、パリの街へ食べ物を探しに出かけます。
ある日、いつものようにアナトールが、家族のために人間の家に入り込むと、ねずみを嫌う住人の声を聞いてしまいます。
人間にそんなふうに思われていたなんて・・・とアナトールは落ち込むのですが「なにか、人間にお返しができればいいんだけど」という妻の言葉で名案を思いつきます。
それは、なんとチーズ工場でチーズの味見をすること!
お手製の「さいこうにおいしい」「とてもおいしい」「おいしい」「あまりおいしくない」「まずい」のカードを次々にさし、「もっとやぎのミルクをくわえるべし アナトール」等、親切なアドバイスまでつけ、家に帰ります。
翌朝チーズ工場は大騒ぎとなるのですが、アナトールのアドバイス通りに作り方を変えると、たちまち大繁盛するようになるのです。
しかしアナトールはねずみ。
ねずみが味見をしている事がわかっては大変なことになります。
アナトールの秘密を知らない工場の社長は「ぜひお礼がしたい」というのですが…。
さてアナトールはどうするのでしょうか?
ぜひ手にとって確かめてみてください。
本をめくると、1ページ目はフランス国旗のトリコロールで、挿絵も青白赤だけの色構成と、シンプルながらセンスが光る一冊です。
フランスの街並みや食文化も垣間見え、次々と知らないチーズが出てくるのもワクワクします。
さすが世界で一番チーズを食べる国。
「カマンベール」や「ブリー」くらいなら日本でもどこでも手に入りますが「ポール・デュ・サリュ」や「サン・マルスラン」と言われてもピンときません。
いったいどんなチーズなのでしょうか…?
食べてみたい!
6歳くらいから楽しめる絵本で、読み終わったらチーズが食べたくなることうけあいです。
ママはワイン片手に眺めたい一冊です。(M)