《認知症にならないための10か条》
それでは認知症にならないためには、どうすればいいのでしょうか。
10か条が示されました。
第1条:脳血管を大切にする
人間の体重の40~50分の1の重さしかない脳ですが、全血流の約6分の1が脳に流れています。
したがって、脳動脈が硬くなって血流が不足すると、脳の働きが低下します。
動脈硬化の大きな要因である高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満など、生活習慣病の予防と治療が「認知症の予防」にもなります。
特に糖尿病は、アルツハイマー型認知症が約2.2倍、脳血管性認知症が約2.8倍、リスクを高めるというデータが出ています。
第2条:食生活を整える
緑黄色野菜やビタミンCなどは、活性酸素による老化を防ぎます。
魚に含まれる成分は、血液が固まるのを防いで、脳梗塞などの予防効果があるといわれています。
ポリフェノール(ゴマのセサミン、大豆のイソフラボン、ワインのアントシアニンなど)は、アルツハイマー病の原因であるアミロイド・ベータの重合を阻止する作用があります。
もちろん基本はバランスの良い食事です。
第3条:運動を心がける
若いころから「歩く習慣」をつけることが重要。
歩数計をつけると、目標ができますね。
動脈硬化、筋力低下による転倒、循環器系の機能低下などの予防になります。
第4条:飲酒・喫煙が過度にならないようにする
認知症になってからの飲酒・喫煙はやめられないそうです。
ストレス解消、人間関係の円滑な交流に役立つこともあるので、多少の飲酒・喫煙はOKとしましょう。
しかし最近は、アルコール依存症からアルコール性認知症になる人が増えています。
喫煙で怖いのは、吸い殻の不始末による火事。
認知症の人の中には、わざわざゴミ箱に火がついたままの吸い殻を捨てる人もいるそうです。
しかし、禁煙させるのは至難の業なので、難燃性のカーテンやカーペットにするなど、環境整備にも工夫が必要になるそうですが、施設に入らざるを得なくなることもあるので、喫煙は一考する必要がありそうですね。
第5条:活動・思考を単調にしないように努める
学習・趣味で、脳を刺激して機能低下を防ぎましょう。
趣味がなくても、家事・買い物・映画などの娯楽・旅行など、日常生活でできることを続けてもよいとのこと。
ただし、脳トレーニングや学習活動などを、嫌がっている人に無理やりさせても効果はないそうです。
第6条:生き生きとした生活を
「生きがい」は、生活に張りを持たせ、積極的な生き方につながります。
趣味やボランティア活動に参加することもよいことです。
第7条:家族・隣人・社会との人間関係を円滑にしておく
人間関係がうまくいかなくなると、閉じこもりや、うつ、神経症、葛藤などの精神神経症状を引き起こすことがあります。
第8条:健康管理を心がける
「自らの健康は自らの手で!」という意識が重要。
散歩やスポーツなどを気長に行う、定期的に健康診断を受ける、軽い症状でも医療機関を受診するなど。
しかし、細かい症状に気を遣いすぎて振り回されてもいけません。
第9条:病気や障害の予防や治療に努める
認知症の原因となる動脈硬化を引き起こさないような生活習慣、身体的・精神的生活に支障をきたすような病気や障害の予防に努めること。
第10条:寝たきりにならないように心がける
閉じこもりや寝たきりは、認知症の発症・悪化要因です。
高齢者の場合は、転倒・骨折から寝たきりになることがよくあります。
転倒の背景には、身体機能の低下、身体的疾患の合併、薬剤の影響などがあります。
室内でも、階段は気をつけますが、かえって1㎝くらいの段差が転倒しやすいので、カーペットは視認性が良いように色のコントラストをつける、電気コードに気をつける、など環境整備にも気を遣いましょう。
歩行が不安定になったら、杖や押し車などを思い切って早めに使うことも大切です。
栄養不良や運動不足も寝たきりを引き起こすので、兆候が見られたら、専門職のアドバイスを受けましょう。 (続く)