8月6日~9日、成田国際文化会館で、劇団わらく公演「まくべす」が上演されました。
劇団名は、世阿弥が狂言をさして言う「和楽の世界」からの名称で、言葉のイメージに広がりを持たすため、ひらがなで「わらく」。
成田で前身の「芝居工房わらく」を立ち上げ、現在は主に東京で活動する代表の勝俣美秋さんが、現代作家の書き下ろしオリジナル作品の創作・演出、また古典作品に構成・演出を加え、能や歌舞伎、日本舞踊などの要素を取り入れて上演を行っています。
なので、今回の劇団わらくの公演は、「マクベス」ではなく「まくべす」。
舞台や衣装に「和テイスト」がふんだんに取り入れられていました。
しかも、今回のステージは大ホールではなく、ロビーという斬新な企画。なんと大ホールは楽屋・・・。
仕掛け人は、同館事業担当の林建吾さんです。「3年前に赴任してきた時、ロビーを見て『ここでやりたい』と思ったんです。小劇場的なこの雰囲気、お客さんとのこの距離感。成田にはなかった文化が創れると思いました」。
そして、成田の演劇界を牽引する、劇団M WORKSの宮﨑顕さんや、旗揚げしたばかりの成田の若手劇団オムライス、一般市民も巻き込んで、東京×成田で創るシェイクスピアの公演となりました。
原作は、「ハムレット」「オセロー」「リア王」と並ぶシェークスピアの4大悲劇の1つ。
「良いは悪いで、悪いは良い」とつぶやく魔女の登場から、さあ、劇団わらくの「まくべす」の世界へ・・・。
スコットランドの将軍マクベスは、戦功により、ダンカン国王からコーダー領主の地位を授けられる。
が、マクベスは、荒野で出会った3人の魔女の「万歳、マクベス、いずれは王になるお方」という予言と、夫人の叱咤に背中を押され、ダンカン王を暗殺する。
王子は身の危険を感じて国外逃亡し、マクベスは王座に就く。
しかし、「王にはならないが、王を生み出す」と魔女に予言されていた同僚バンクォーに不安を抱き、またも暗殺。
ダンカン国王やバンクォーの幻影に脅かされるマクベスが、魔女に再び予言を乞うと、「マクダフに用心しろ」「女から生まれたものはマクベスを倒せない」「バーナムの森が動くまで」などと予言される。
貴族マクダフがイングランドへ亡命すると、マクベスは、妻子を殺させる。
マクダフは、マルカム王子とマクベス討伐を計画する。
マクベス夫人も幻影にむしばまれ、夢遊病で狂死。
イングランド軍は、マクベスのいるダンシネイン城へ、バーナムの森が実際に向かってくるように、兵士を送り込む。
ついにマクベスと対決したマクダフは、おれは「母の腹を裂いて取り出された(帝王切開)」と言い、マクベスの首を取る。
マルカム王子が新王に即位する。
座布団の上で芝居を観たお客様は、「革命的公演として素晴らしい以上に、ムーブメントの幕開け。多くの才能が力を合わせた感があった」「おもしろかった。魔女と妻の表情が良かった」「素晴らしい集中力に圧倒され、少しも長いと感じずに最後まで楽しめた」「マクベスのストーリーを初めて知った。古典をやってくれると注目できて良い」「場所が思っていた以上に素敵に出来上がっていた。アイデアが素晴らしい」「難しい原作の合間に、コメディがはさまれていて面白かった」などと、感想を寄せました。
出演した成田組にとって、4日間で5ステージは初めての経験で疲れたようでしたが、「プロの俳優さんと合宿や練習をして、貴重な体験が出来ました。楽しかった。いろいろなお客さんに来てもらえてよかった」、「わらくの皆さんの集中力に圧倒されました。2回目の公演で褒めてもらった。今後の自信になりました」と、終わったばかりの達成感の中、話してくれました。