パトロール継続のコツは「シフト」「リクルート」「数値化」 自分たちの街は自分たちで守ろう 講演会

2月1日、成田市保健福祉館多目的ホールで、平成26年度 成田市防犯まちづくり講演会が開催されました。講師は明大前ピースメーカーズ代表の本杉香さんで、講話「自分たちの街は自分たちで守ろう~防犯パトロール継続のコツ~」を90人が聴講しました。

平成13年に日本初の民間ボランティア防犯パトロール隊として発足した明大前ピースメーカーズ(略称MP)は、東京都世田谷区内最大の駅・明大前の商店街事業です。当時、同地区は世田谷区で一番犯罪発生率が高く、小学校の痴漢被害もワースト1でした。その状況を憂う消費者の声に「なんとかしたい」と立ち上がり、駅前交番代わりのボックス設置・パトロール・通学路の見守り・あいさつ運動などを展開、10年間で犯罪件数を97%減少させた驚異の実績を持ちます。治安がよくなった結果、住民の増加・地価の上昇にもつながり、経済効果も生まれました。平成20年にはその功績により内閣総理大臣賞「安全安心街づくり功労賞」を受賞。この活動のパイオニアとして、日本のみならず世界のマスコミにも多数取り上げられ、全国から視察や講演依頼が相次いでいます。

本杉代表からは、MP発足から、その実践と効果など、興味深い話が次々に語られました。パトロールは日曜日を除く毎日、夜1時間、蛍光色のジャンパーと帽子に「熊よけ鈴付き」の誘導灯を持ち、3人一組で回ります。鈴の音は住民の注意を喚起する効果もあるそうです。痴漢被害に対しては、被害児童が学校に駆け戻ったら、すぐに連絡を受け、現場に直行することで、6ヶ月間で被害を0にすることができたとのこと。成田の各地域で実際に防犯パトロールを行う聴講者が多い会場は、熱心に耳を傾けていました。

本杉代表は「パトロール継続のコツ」として、①シフトの組み方 ②隊員のリクルート ③効果の数値化 をあげました。
シフトは1週間に必ず1回は入れ、3回以上は組まない。このペースが一番続くことを経験から得たそうです。「隊員は積極的に勧誘すること。そのときの殺し文句は『自分たちの街は自分たちで守りましょう』。こう言えば、守らなくていいよという人はいません」。発足時10名だった隊員は現在57名。明治大学を抱える地域であるため、最近は若者も加入するようになり、平均年齢も下がったといいます。そして、「街の人に認めてもらうためには数値化」。駅を中心とした半径1㎞の範囲で、窃盗・強盗・空き巣・ひったくりの4犯罪の統計を取ったところ、発足当時の527件が平成26年には12件に、被害総額も年間15億4500万円減少し「地域のお財布を守りました」。安全安心なまちづくりに成功した結果、明大前駅の乗降客も1,5倍に増えたことで、1人500円を消費してくれれば年間55億円の経済効果、また、「犯罪が1割減ると地価が1,7%上昇する」とする京都大学の研究結果から、地域の資産価値も100億円上がったと試算するなど、説得力のある数値が次々と発表されました。
最後に本杉代表は「隊員をもっと増やして、犯罪ゼロの年を作りたい」と、さらなる意欲を語り、講演を閉めました。

講演終了後は、成田警察署の生活安全課長から、「成田市内の犯罪発生状況について」の講話が行われました(内容は後日掲載します)。

聴講した女性は「私たちの地域でもパトロールしてくださるのは年配の方ばかり。今日のお話をうかがって、若い人に参加してもらえるような仕組みを作れればいいなと思いました。私たちの地域は大学はないので、高校生や中学生にも参加してもらえるようにできれば・・・」と、講演から得たものを話してくれました。

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この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。