エリア再発見 【お正月】

お正月の食べ物としてお雑煮がある。「うちはパン食よ」という家庭でも、お正月はお雑煮を食べるであろう。古くからお正月には各家に「お正月様(年神様)」という神様が訪れるとされている。このお正月様を迎えるのに供えるのが鏡餅で、この鏡餅を皆で分けて食べることがお雑煮であった。現在お重詰めとして客をもてなす料理、おせち料理も本来はお正月様に供えるものであったが、その意味が忘れられている。
お雑煮というと関東は醤油の澄まし汁仕立てで焼いた四角形の切り餅、関西は味噌汁仕立てで焼いた丸餅に分けることができる。成田はもとは菜っ葉を使わないで、仕上げにヒバを入れていた。ヒバとは大根の葉を陰干しにしたもので、これを遠火であぶり、手でもんで細かくしたものをお雑煮の上にかけると香ばしい匂いがしたのである。漢字では干葉・乾葉と書く。
お雑煮を作るには水がいる。この水を汲むことを若水汲みという。元日の早朝、その家の主人あるいはアトトリ男性が汲むとしている。井戸から水を汲むのに桶にしめ縄を張ったり、井戸に米を供えてから汲むという家もある。若水は神棚・井戸神様・荒神様・氏神様などに供え、残った水でお茶を沸かし、お雑煮を作るときの差し水にしている。新年にあたり新しい水を汲み、生気を貯えようとしたのであろうが、今は井戸がなくなっている家が多いので、若水汲みも行われなくなった。  (成田市 北囲護台 小倉 博)

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Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。