「成田の映画を撮るのが最大の目標」と断言! 『古都』のSaito監督 ヒューマックスで舞台あいさつ♪ ㊦ 

進行:原作を読んだ方など、現代版にすることに疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが。

監督:逆に、現代版じゃないと僕が撮る意味がないんです。
55年前の京都を描いたのが『古都』ですが、それを撮るのは、僕よりすごい監督がいっぱいいらっしゃいます。
現代版にして、話をパリにまで広げて、「次の世代に継承する」というところで、新しい目線、自分が撮るという意義があると思いました。
現代版にしないと逆に意味がないんです。

また、なぜ、今かというと、インターネットが出来て、一瞬で世界につながれる、だからこそ個人が大事になって、その中で失った大きなものは、家族の在り方だったり、また近所付き合いを京都も成田も大切にしますが、地域とのつながり、地域で育てていく、そういうものが変わってしまいました。
世界も逆行していく、歴史をさかのぼっていく事象が起きていく中で、今ほど逆に日本文化の中にある=自分自身を見つめることが大切であると思っています。
例えば、書道で形(かた)を書いて書いて書きまくる、日舞もその通りに動くという形が決まっている、禅の世界もそうですが、突き詰めていく中で、最後は自分で自分を見つめなおす、ここに川端先生が言いたかった「日本の美と精神」があると僕なりにとらえました。

その調和のところ、オリンピックを前に世界中から注目されている今、発信していくべきことかな、逆に今しかないかなと、現代版という形にしました。

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進行:『古都』を読んだことがない人や若者に、どのようなメッセージを送りたいですか。

監督:ちなみに、原作を読んだ人はどれくらいいらっしゃいますか。
(会場を見回して)1割~2割かな?
だからこそ川端財団がOKしてくださったというか。
この映画化をきっかけに、ずっと絶版になっていた『古都』が、新しく生まれ変わって、今、本屋に並んでいるんです。
温故知新の考え方がすごくあって、僕の世代も『古都』を知らない人が多いですが、これがきっかけとなって、川端文学だったり、『古都』だったり、古き良き日本映画に興味を持ってもらえたら・・・。

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【古き良き日本映画手法の復活】
監督:論点がずれるんですが、今の映画って、情報がぶわーっと入ってきて、だいたいセリフで説明されていて、観る側はすごく受け身になっていると思うんです。
日本の中では邦画バブルなので、良いことなんですけど、内向きになっています。
かつて日本映画は、世界的にも注目されていました。
今回をきっかけに、古き良き日本映画をたくさん観て感じたのは、多くの情景、情感、行間で伝えていて、セリフが少ないこと。
だからこそ、バックショットの意味や、うなじのカットの意味とかをすごく考える。
考えた時って一生わすれない。脳裏に焼き付くから。
面白い映画はたくさんあるんですけど、受け身で観た時は、おもしろいなって思って流れて、ランチ食べたら全然別の話をしている。
それよりは、深く刻まれると、例えば、娘さんとちょっと『古都』について語ってみるとか、エンドロールが流れた時に、この映画が伝えたかったことって、ちょっと難しかったかもしれないけど、考えたことによって焼き付く、古き良き映画にはそんなものを感じました。
今回いちばん映画のイメージとしてやりたかったのが、そういったものも復活させたかったというのがあります。

【「成田の映画を撮る」と強い決意表明】
続いて、小泉一成成田市長との歓談では、故郷・成田への強い思いが語られました。

監督:成田の映画を撮るというのは、僕の今の最大の目標です。
今日言ったことは実現しないと、成田の人に失礼になると思うので、頑張ります。

8年ぶりに日本に帰って来て、空港に降り立った瞬間に日本語がばっと聞こえて、家族や友人が迎えてくれて、その時に感じたアドレナリンというか、「故郷に対しての愛」を初めて感じました。
この湧き上がる感情は、きっと普遍的で万国共通だと思った。
その時に、成田の映画を撮るのが目標になりました。
その時は、(自分のことは)誰も注目していなかったけど、いたるところで成田の映画を撮る撮る撮ると言ってきました。
僕は「有言実行」が昔からのモットー。
言い続けてきたことが、今回ようやく成田市と一緒になって、成田が舞台ではないのに、僕が出身というだけで、ここまでやっていただきました。
ここまでやってくれる町は、そうそうないと思います。

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地域映画はいっぱいありますが、ありがちなのは、みなさんの血税を使って、成田市は盛り上がるけど成田しか観ない。
そういう映画には、全く興味がありません。
いつか成田を撮る映画は、絶対にメジャーなものでなくてはいけない思っています。
「伝統と、革新と、外からのインターナショナルな架け橋」をつなげるという構想はあるんですけど、それを実現するには、もっと僕が大きくならなくてはいけないし、そうそうたやすく撮れるものではないと思っています。

けれど、(『古都』を撮るにあたって、その先の成田の)そういう構想も描いていました。
『古都』を成功させると、地域の映画ですし、これからの映画界の立ち回りも違ってくるし、キャスティングの仕方も違ってくるな、と思います。
成田を世界にPRできるようになる、メジャーな映画を撮れるようになる、それが最大の目標。
市長もその時まで市長を続けていただければ、ぜひ出ていただきたいと思います。

今日はキャストがいないので、ぜひ写真を撮って、皆さんの感想を添えて、拡散してください。
口コミでジワジワ長~くやってるというイメージなので、よろしくお願いします! (了)

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舞台あいさつ終了後は、気さくに来場者の写真撮影に応じていたSaito監督。
記者も名刺を持ってごあいさつに伺うと「『成田エリアどっとこむ』さん、知ってます、知ってます」と言ってくださり、大感激!
こんなビッグな映画を撮った監督が、「成田の映画を撮る」と、こんなにも熱い思いを語ってくださったことを、「成田を盛り上げたい!」というコンセプトを持つ『成田エリアどっとこむ』は、大感激で拝聴しました。

母校・成田国際高校の後輩の「監督のようになりたい」という熱い思いにも、真剣に耳を傾けていたSaito監督。
いつの日か、このツーショットが撮影現場で見られることを期待します♪

成田ヒューマックスシネマズでの上映は、12月16日(金)まで!
15日までの上映時間は、11時05分~・13時25分~・18時~で、125分です。
お見逃しなく!

後輩の背丈に合わせる優しい監督♪
後輩の背丈に合わせる優しい監督♪

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。