引き込まれる70分! 見応えたっぷり『ハックルベリーにさよならを』 成田・富里の10代劇団オムライス 5/7に第4回「晩熟」公演

2014年、富里高校在学時に、成田市民劇団の一員だった飯島誠一さんが、近隣の高校生演劇仲間と共に旗揚げした劇団オムライスが、5月7日(土)、成田公民館市民ホールで、「晩熟」と銘打ち、プロ演劇集団「キャラメルボックス」初期の名作『ハックルベリーにさよならを』を上演します。

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劇団員は全員が10代という若さですが、今年度、成人する団員もいるため、全員10代としては最後の公演となります。

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劇団オムライスの第1回公演は一昨年12月、第2回公演は昨年5月、第3回公演は昨年12月。
それぞれ『半熟』『未熟』『熟』と銘打ち、今回は『晩熟』。

劇団オムライスは、このたび、千葉県舞台芸術企画募集に応募し、見事に選出されました。
その公演を12月に控え、今回の第4回公演は、次のステップに向けて、一区切りとなる舞台です。

【離婚した両親の間で揺れ動く、小学6年生の物語】

ケンジは小学6年生。母さんと2人暮らし。
家庭教師に感化されて、カヌーが漕ぎたくて仕方ないが、母さんに反対されている。

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ケンジは月に1回、離婚した父さんに会いに行く。
父さんのマンション近くにある公園でボートに乗るのを楽しみに・・・。

ある日、父さんから、再婚を考えているカオルさんを紹介される。

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「ボクには関係ない!勝手に結婚すればいい」と部屋を飛び出したケンジをたしなめる「兄さん」。
「本当はおまえも気になるんだろう?カオルさんがどういう人か」。

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ケンジが嫌がるのもきかず、「兄さん」はカオルさんに会いに行く。
カオルさんといろいろ話をするうちに、「兄さん」はカオルさんを好きになっていく。

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しかしケンジは認めようとしない。

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ある日、「兄さん」を追って訪ねたカオルさんの部屋で、父さんと鉢合わせしたケンジ。
「父さんはカオルさんと幸せになって、母さんはボクの心配だけして年を取っていく。そんなの不公平だ!」


「そんなことを言うために来たのか」
「兄さんを連れ戻すために来たんだ!」
「兄さんて誰だ・・・?」
・・・兄さんは、カオルさんを好きになっていく、もう1人の「ケンジ」だった・・・。

飛び出したケンジは雨の中、公園のボートに乗って、池から川に漕ぎ出す。
「ボクは1人になりたいんだ!」
ケンジと「兄さん」が問答するうちに、海の匂いが近づいてくる。
そんななか、携帯電話にカオルさんから着信が・・・。

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【引き込まれる70分】

4月23日、はじめての通し稽古にお邪魔しました。
結論から言うと、70分間引き込まれました~!!
「次はどうなるんだろう?」「兄さん? ケンジは母さんと2人暮らしだよね・・・」
公園の池から川に出てしまって「どうなるんだ、ケンジ!」
離婚した両親の間で揺れ動く小学6年生・・・。
エンディングシーンには、グッとくるものがありました。

【看板女優 誕生!】

DSC_6282引き込まれた要因の1つは、ケンジを演じた劇団最年少・中学3年生、千葉夏希さんの演技。
初通し稽古にもかかわらず、台詞はノーミスでした。
前回公演が初舞台だった千葉さんは、今回の主役抜擢に、「ビックリしました。私でいいのかな? でも、小学生男子を演るのは、私しかいないかと・・・」。
それでも主役としての覚悟がありました。
「自分の中では、男の子っぽくも、ケンジにもなっていない。仮にも主人公だから、引っ張っていかなくてはいけないのに、自分にはまだ荷が重い。けれど、主人公は全員と関われるので、すごく楽しい」。
台詞は2~3回の稽古中に覚えられるという才能の持ち主!
その上で「台詞は早く覚えられるのだから、演技がもっと抜けてないと・・・。もっと早く覚えて、他のことを成長させていかないと、と思います」と、柔らかな物腰や物言いからは想像が出来ない、意思の強さをのぞかせました。

【飯島代表に聞く】

見どころは、最年少の千葉の芝居ですね。今回はダンスの振り付けも千葉です。新たな才能を発揮しています。
この作品は、いろいろな解釈ができるので、本番までに自分なりのお客様へのメッセージを固めていきたいと思います。
今回は高校生以上のお客様には500円をいただくので、それに値する芝居をしなくてはなりません。

成田市教育委員会さんに後援をいただいたので、たくさんの小中学生に観に来てほしい。
そして子どもたちに演劇をやりたいと思ってもらいたいし、いずれオムライスを引っ張ってくれる若い子にも入ってほしいですね。

12月の県の公演は、演劇をやっていく上で明暗を分ける企画です。
今回を完結として、12月にはオリジナル作品で勝負しようと思っています。
県でもどんどん有名になっていきたい。ぜひ見に来てください。

通し稽古が終わって、飯島代表の指導が入る
通し稽古が終わって、飯島代表の指導が入る

【それぞれ重要な役どころに向上心!】

キャストそれぞれに、初通し稽古を終えての感想と、公演についてうかがいました♪ (カッコ内は役名)

《セイタさん》(兄さん=ボク)
さわやかに終わってしまう劇なので、お客さんにどれだけ内容を伝えられるかが、ネックになってくると思います。
自分は客演ですが、長台詞が多く、1人で伝えなくてはいけないので、気持ちを込めて丁寧に、いかにお客さんに伝えられるか。
楽しんでリラックスして観ていただければ幸いです。
役者もスタッフも楽しんで、全力でやっていこうと思います。

《新埜 楓さん》(オオバ カオル)
練習回数が少なく、まだ台詞が入ってきていないので、止まってしまったシーンがありました。アドリブも下手で・・・。
本番までに課題がいっぱいです。
初通し稽古は、声の通りを意識しましたが、役に応じた声色を使うのが難しい。
あと2週間で、感情と演技を乗せていかなくてはなりません。

《ふみやますぎやさん》(父さん)
飯島さんに「思いっきりやってくれ」と言われて、バカな父さんをデフォルメしました。
この路線で作っていき、当日のテンションでいきます。
今回の役は楽しい。勢いがつきすぎて抑えなきゃいけなくなるかも。
前回は主役でしたが、今回は肩の力を抜いて、自分が役に近づいていこうと思います。

《遠藤悠歩さん》(母さん)
部分稽古では集中できましたが、通しだと出ない時間に集中が途切れて、台詞がとんでしまいました。
動きが少なかったのが反省点です。もっと動きを増やせるよう、台詞の強弱もつけて、細かく練っていきたい。

《圓城寺雪舞さん》(アベチカコ(ケンジの彼女気取りの女子))
台詞に1回つまってしまいました。慣れない部分があるので、ならして本番に向けて役に近づいていきたい。
役をもらったのは初めてなのに、この役でどうしようと思いましたが、自信がついてきたので、本番までには完成させたい。

《川崎マヨラさん》(家庭教師(昼の部))
あと2週間しかないけど、精度を上げていかなきゃと感じました。
今回はお客様からお金をいただくので、いただくだけのものを創り上げていかないと。
自分は昼の部と夜の部で、違う役をやるので、ごっちゃにならないようにしたい。

《有村治世さん》(家庭教師(夜の部))
川崎さんと同じ役なので、川崎さんより面白いことが出来たらいいなと思っています。

《山倉美香さん》(家庭教師の先輩)
幼なじみの(主役の)千葉さんを観に来て、「面白そうだから裏方をやってみよう」から、「練習楽しそう。出てみたい」になって、今回、役をいただきましたが、今日は自分の出来なさ過ぎに落ち込みました。
声を変えているつもりでも「同じトーンに聞こえる」と言われたり・・・。
言われたことは意識しますが、意識しすぎると・・・。
若干「無」になると、ちょうどいいかな。
中学3年生で受験生なので、この公演が最初で最後。
みなさんに迷惑をかけないよう、やり切りたい。

チケット予約は、劇団オムライスのツイッターからもできます♪
https://twitter.com/gekiomu
一生懸命芝居に取り組む若者たちの舞台を、ぜひご覧ください。


劇団オムライスは、ボランティアで慰問公演も行っています。
ただいま用意している演目は、『走れメロス』です。
ご希望のある方は、飯島代表まで。
℡090(8870)0726

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。