やり投げ 十種競技 ハードルの日本代表が 中高生を熱血指導!「トップアスリートとのふれあいから学ぶ」 (前編)

2月28日、日本大学文理学部体育学科同窓会講演会千葉県大会「トップアスリートとのふれあいから学ぶスポーツと教育」が、成田高校で開催され、多数の近隣中高生が参加しました。

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【講師は3人の日本代表】

指導者として同校を訪れたのは、3人のオリンピアン!
アテネ・北京・ロンドン五輪日本代表、2009年世界陸上銅メダル、アジア選手権2連覇、日本選手権12連覇の、やり投げ・村上幸史選手(日本大学文理学部 助教)&ロンドン五輪日本代表、十種競技日本記録保持者、2014アジア大会チャンピオン、日本選手権6連覇の右代(うしろ)啓祐選手(スズキ浜松AC)&ロンドン五輪400mハードル日本代表、十種競技日本歴代2位、2015アジア選手権十種競技チャンピオンの中村明彦選手(スズキ浜松AC)という、豪華な顔ぶれです。

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陸上の十種競技とは、2日間かけて、100m・走幅跳・砲丸投・走高跳・400m・110mハードル・円盤投・棒高跳・やり投・1500mの十種を戦い、各記録を点数化して競うもの。
走る・跳ぶ・投げる、すべての総合力が問われるため、優勝者は「キング・オブ・アスリート」と称されます。
右代選手は、日本人として初めて、ワールドクラスの8000点越えを果たし、世界大会でのメダルが期待されています。

【志を立てることが大切】

講演の皮切りは、多数のトップアスリートを輩出し、全国最多の教員も送り出している日本大学の加藤直人副学長。
DSC_1096「壁を破れず悩んでいる人も、必ず花開く時が来る」と、高校までは突出した成績がなかった800mの女子選手が、大学で日本チャンピオンになった例をあげ、「食べるもの、心理学、生理学、心の持ちようなど、いちばん力を発揮すべき時に発揮するための勉強も必要」と説きました。
そして「志を立てることが大切。時間はあっという間に過ぎてしまう。自分の将来は自分で切り開いていくこと」と、生徒たちを鼓舞しました。

【村上選手と右代選手はロンドン五輪で同部屋】

村上選手、右代選手、中村選手からは、現役トップアスリートの貴重な話が、多数語られました。

村上選手と右代選手は、ロンドンオリンピックでは同部屋だったそう。
村上選手から「朝起きると、右代はもう練習に行っていて部屋にいない。夜寝る時にも、まだ練習していていない。同部屋だったけど、ほとんど会っていません。右代は本当に練習が好きです。ぼくは、やり投げだけを極めようとしていますが、彼は10種目を極めようとしているわけだから、すごいですよね」と、貴重なエピソードが話されました。

【靴だけで10足! 中学時代は成長痛に悩んだ右代選手】

右代選手は「十種競技は荷物が多くて大変です。移動する時はキャリーバッグ2つ。空港で、よく『どこに何をしに行くのか』と聞かれます」と笑い、「今日は靴だけを持ってきました」と、8足の各競技用シューズを披露しました。雨用のシューズも加えると、靴だけで10足を持ち歩くそうです。

靴の説明をする右代選手 196㎝の身長を支える靴のサイズは29㎝!
靴の説明をする右代選手 196㎝の身長を支える靴のサイズは29㎝!

中学1年生で身長は167cm、ガリガリだったという右代選手。中2で183cm、「1ヶ月に1cm以上伸びたわけですから、中学時代はオスグッド(成長痛)に悩まされ、練習も試合もほとんどできず、結果の出ない3年間でした」。
高校になり、徐々に身長の伸びが緩やかになってから、筋肉がつくようになり、どんな練習にもついていけるようになった右代選手は、毎日始発の電車で学校に行き、授業前に1時間自主トレーニング。中学時代の悔しさを高校のトレーニングで晴らした経験から、継続することの重要性を強調、「みなさんにいちばん伝えたいのは、1日24時間はみんな同じ。効率よく時間を有効活用することが『日常』にできるようにしてください」と話しました。

【最終種目終了後の達成感と、他の競技でカバーできるのが十種競技の魅力と中村選手】

中村選手は、小学校時代はサッカー選手。中学入学後も地域のサッカーチームに所属したため、中学校のサッカー部には入れず、走りこみトレーニングにと陸上部で長距離練習をしていました。ところが記録がどんどん伸び、陸上のほうが楽しくなって専念。
さらに、先輩が跳び箱用のロイター板を使って高く跳んでいたのを見て、走高跳にも挑戦。結果的に長距離と跳躍という珍しい種目の組み合わせになり、高校入学後、悩んでいたところ、先生が「インターハイに連れていくから走高跳でいこう」。
冬季トレーニングで「いろいろな感覚の引き出しを作るため」、やり投、砲丸投にも挑戦し、春にまとめとして八種競技に出場したところ、「最終種目の1500mが終わった時の達成感が気持ちよくて」競技にはまり、3年生の時、当時の高校記録を出してインターハイで優勝!
大学ではそのまま十種競技に移行します。
「十種競技は、1つの競技が失敗しても、他の競技でカバーできるのが魅力の1つです」と話しました。

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熱心にメモを取る生徒たち
熱心にメモを取る生徒たち

記録を伸ばす秘訣としては、次の1本はどうするのか、足はどういう角度で・・・、第3者から見たら・・・と「イメージすること」と、悔しかった試合、そのとき次はどうしようと思ったかを「忘れず記憶すること」の2つをあげました。
「ロンドンではハードルで失格し、その後は十種競技を観戦していました。会場の8万人が棒高跳の右代さんを見ていて、盛り上がったり、ため息をついたり・・・。それを見て『自分も出たい!』。で、今がんばっています。みなさんも悔しい記憶を忘れず、やっていってください」と締めくくりました。

【質疑応答】

最後に質疑応答の時間が設けられました。
遠くへ投げるコツ、試合中の気持ちの切り替え方やリカバリーの仕方、知らない土地で開催される大会でのコンディショニングなどが質問され、3人のオリンピアンが丁寧に答えていました。

野球のコーチから質問を受け、村上選手は「最近はやり投げより野球の質問が多いんです(笑)」
野球のコーチから質問を受け、村上選手は「最近はやり投げより野球の質問が多いんです(笑)」
質問者にはオリンピアン直々にタオルが渡されました♪
質問者にはオリンピアン直々にタオルが渡されました♪

後日、午後に行われた陸上教室の様子をお伝えします。

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。