成田の歴史と史跡 61

【落語・成田小僧】  落語に「成田小僧」と題する、三代目三遊亭円遊の持ち噺がある。その一部を紹介してみる。  芸者小千代は、本郷春木町の塗物屋の若旦那清三郎に一目惚れする。しかし清三郎が座敷に呼んでくれないため、ふさぎこんでいる小千代のところへ、芸者の妹分の花洲が顔を見せ、気分直しにおもしろい話をしている場面である。  「お前(花洲)さんは来ると人を嬉しがらせてばかりいるね」「姉さんと若旦那と私とで、山谷堀から船を仕立て、屋形で成田へ行きましたが、行徳河岸から上がると、ピイピイ風で寒かったね。みんなで頭巾をかぶって、役者が成田へお参りに来たつもりにしようと言い出し、目ばかり頭巾で若旦那が行くと、往来の人が福助が来たって騒ぎ、長孝(太鼓持ち)は目が大きいので俺は団十郎だてんで、ウンと少しまえへこごんで歩くとドブへ落ち込んだ。三吉は俺は音羽屋(尾上菊五郎)になるって、そっくり返してちっとも歩けない。ようやく追いついてきたが、長孝がドブへ落っこちたのを往来の人が見て、役者がドブへ落ちたから引き上げてやらなくちゃならないと、引っぱり上げて顔を見ようと頭巾をとると、太鼓持ちだもんだから、団十郎に化けたなとポカポカみんなにぶん殴られるので、私が仲裁に入りましたが、姉さんよっぽどおかしかったですね」「本当におもしろかったね。お前さんの話でたいそう気分がよくなりましたよ」   (北囲護台 小倉 博)

船での成田山参詣
船での成田山参詣

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。