劇団わらくのロビー公演 今年は 菊池寛『時の氏神』&岸田國士『葉桜』

成田で立ち上げ、東京に進出した劇団わらく。
代表・勝俣美秋氏は、成田の演劇も盛り上げたい!と、成田での活動も続けています。

一昨年からは、成田国際文化会館の、ステージではなくロビーを使うという斬新な試みで、芝居を上演しています。

今年は、日本の代表的な劇作家、菊池寛の『時の氏神』と岸田國士の『葉桜』を、同じく同館ロビーで、8月26日~28日に上演します。

わらく表

【夫婦と母娘の物語】

『時の氏神』は、夫婦げんかの末、妻がまさに家を出て行かんとした時、同じく夫婦げんかで家を飛び出してきた女性がやって来るという話。
『葉桜』は、見合いの後、決断を迫る母と迫られる娘の会話で構成された物語です。
どちらも家の中で繰り広げられる日常生活を切り取った、夫婦の、母娘の、心の機微を描く作品です。

【勝俣氏が2作品を選んだ理由】

『葉桜』は1926年、『時の氏神』は1924年の作品。
今回はどちらも1924年に設定して上演されます。
1924年は、関東大震災が起こった翌年ですが、2作品は、ともに関東大震災を強調するものではありません。
「そんな時期に、2人の作家はなぜこのような作品を書いたのだろうという興味が、僕がこの作品を選んだ動機の1つ。地震が来れば、一瞬でペッチャンコになってしまう人間のはかなさが根底にあり、人と人との関係の中で、喜んだり泣いたり怒ったりすること自体が、幸せなのではないか、という問いかけを、この作品たちはしているのではないか」と勝俣氏は語ります。

【大ホールロビーの中に 1924年の東京の街を再現】

夫婦と親子の家の中で繰り広げる物語を、劇場ではなく、あえてロビーの大きな空間で上演することにも企みがあるといいます。
「現代の建物の中に、過去の街、家があり、過去に書かれた作品を、現代の人が演じ、観ているような構図ができたら、ロビーが、そこにいる人たちが創り出したまぎれもない『今』になるのではないかと思っている。そして、そんな『今』を、私たちが創ることができるのも、平和だからだと強調したい」。

【劇団わらく『時の氏神』―『葉桜』】
▽8月26日(金)19時/27日(土)14時・19時/28日(日)14時
▽会場:成田国際文化会館大ホールロビー
▽チケット:一般3000円/学生割引1800円(大学生以下の学生・演劇養成所などの研究生が対象。学生証を提示してください)/小学生以下無料
▽取り扱い・問
〈劇団わらく〉℡080(3442)0481
メールgekidanwaraku@gmail.com
ホームページhttp://www.gekiwara.com/
〈成田国際文化会館〉
℡0476(23)1331
9時~17時 月・祝日の翌日は休館

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。