小学生から中学1年生に進級した時に、一部の生徒が心理的、学問的、文化的なギャップを感じ、不登校などの原因になる「中1ギャップ」。
富里市では、昨年度より、中1ギャップ解消対策として、既存の中学校区を1つの学園と考え、義務教育9年間の児童・生徒の成長・発達の連続性に配慮した教育活動を行っています。
12月2日、中央学園(富里中・富里小・富里第一小・根木名小・七栄小)ジョイントスクール事業として、『郷土愛育成プロジェクト~旧岩崎家末廣別邸 環境整備活動~』が行われ、富里中学校1年生と、各小学校の6年生、総勢490名が、末廣別邸敷地内の枯れ枝や落ち葉の回収作業を行いました。
子どもたちは、富里小学校体育館で、末廣別邸の整備活用に深く関わる、富里市生涯学習課文化資源活用室の林田利之室長から、富里市初の国登録有形文化財である「旧岩﨑家末廣別邸」についての講話を聞き、岩﨑氏と末廣別邸についてまとめられたビデオを鑑賞しました。
その後、徒歩で末廣別邸に移動すると、縦割り班になり、分担された区域を協力して清掃しました。
あいにくの小雨となってしまいましたが、子どもたちは嫌な顔ひとつせずに、作業に取り組み、中学生が、一生懸命小学生と交流しようと働きかけている姿が、あちらこちらで見られました。
集まった枯れ枝と落ち葉は、4㌧トラック1台分ほどになりました。
常日頃、整備作業を行っている管理ボランティアの方々は、「若い力はすごいですね。こんなにたくさんのお子さんに作業していただいて、こんなにきれいになりました。ありがたいです」と感心しきりで感謝していました。
林田室長は、「自分も小学校4年生の時に、末廣別邸に入る機会があり、郷土への関心が生まれ、今に至ります。末廣別邸の活用を考えた時、子どもたちに関わってほしいと願っていたので、今日のこの光景は、本当に嬉しいです。今日は久彌さんの命日なんです。だから、お話があった時、実施日を今日でお願いしました。子どもが好きだった久彌さんですから、子どもたちが大勢来てくれて喜んでいると思います。感無量です」と胸のうちを語ってくれました。
閉会式では、富里中学校の先生が「今日の交流で、6年生の皆さんの不安が、少しでもとれればいいなと思います。来年4月に元気に入学してくるのを待っています」とあいさつしました。
富里中1年の女子生徒は、「小学生とは、たった1学年しか違わないけれど、意外に話が噛み合わず、でも逆にそれが楽しかった。小学生がとても一生懸命作業していて、見習わなくてはと思いました。ビデオを見て、身近なところにこんな場所があったことを知りました。探検してみたくなりました」と話しました。
富里中学校の戸村広二校長は、「大人になった時に今日のことを思い出して、少しでも富里のことが好きになってくれればと思っています。自分の街にこんなに素晴らしい財産があることを理解できれば、街が好きになれると思います」と、温かな目で子どもたちを見つめていました。
ジョイントスクールと地元文化財の環境整備、一石二鳥+αの素晴らしい教育活動となりました。