ぴーぷる 芹川史枝奈さん(遠山中) 「中学生の主張」千葉県最優秀賞 陸上全国大会出場 

9月27日に千葉市文化センターホールで行われた「第37回『私の思い』~中学生の主張~千葉県大会」で、県内47校1827人の応募者の中から最優秀賞に輝いた芹川史枝奈さんは、成田市立遠山中学校の2年生です。

【応募もテーマも即決】

先生から打診があったとき、芹川さんは応募することも、テーマも、即決したといいます。

胸に浮かんだのは、小学生の時に訪れた「ひめゆり平和祈念資料館」と、戦争経験者の2人の祖父の言葉でした。
資料館の壁に貼られた、多くの少女たちの写真がみな戦争で亡くなった若き命だったことを知った芹川さんは、大きな衝撃を受けます。
さらに祖父たちの言葉。1本のバナナを8人で分けたこと、兄弟が戦争に行ってしまったこと、南の島で銃弾の飛び交う中を走り回ったこと、多くの友人が銃で撃たれたこと・・・。そして祖父は言います。「もう二度と南の島へは行きたくない」。
これらのことが、芹川さんの中に、平和への感謝と強い希求を生みます。「この思いを伝えたい」。「『私の思い』~中学生の主張~」は、絶好の機会になりました。
芹川さんは、今年の夏、成田市折り鶴平和使節団団長にも立候補し、後世に伝えるべく、長崎でも貴重な体験をしています。

【原稿はすべて自分の思い】

芹川さんは、あふれる思いを全部原稿にしていきました。それを「自分の思いを優先して」応募規定の4枚程度に凝縮し、『私たちにもできること』を完成させます。
「直すところはありませんでした」と、担当の栗原直行先生も感心します。

【暗記 発表練習は2週間】

7月末に応募した原稿が、1次・2次審査を通過して、県大会出場13人に選出された通知が来たのは9月。
「実感がわきませんでした。どういう大会か、よくわかっていなかったのですが、他の出場者のタイトルを見て、みんなすごいので圧倒されました」。
けれど、ポジティブな芹川さんは、「大会では、誰も私のことは知らない。知らない人の前で発表する方がプレッシャーがない」と気持ちを切り替え、12日の体育祭翌日から練習を開始します。
暗記は、すきま時間に集中して取り組みました。
陸上部所属の芹川さん、競技場で部活練習がある時には、休憩時間に取り組んだことも。集中する姿に後輩たちが驚いたといいます。
送迎してもらう車の中、入浴中の時間など、細かい時間を暗記にあてました。

栗原先生が発表練習をアドバイスしたのは3回。
「最初は、だた読むだけだったのが、間の取り方や強弱をアドバイスすると、どんどん文章を自分のものにしていきました」。
原稿には、3色のマーカーの跡が残ります。

【当日まで自信がなかった】

それでも、「当日まで自信がなかった」という芹川さん。発表は13人中5番目。「前の人のを聞いていて『文章がすごい』と思ってしまいました」。
緊張はピークに達し、「発表の間の記憶がない。でも、つまらず言えたのでよかった。舞台から下がったとたん脱力しました」と笑いますが、その発表ぶりは堂々と落ち着いたものでした。
003[1]
一度も原稿を見ることも、つかえたりよどんだりすることもなく、滑舌良く通る声で強弱をつけ、会場を見回しながら訴えかけ、聴衆を聴き入らせました。
しかし本人は、その後の出場者たちの発表にも、とてもかなわないと感じたまま、結果発表の時を迎えます。

【足が震え 頭が真っ白になった結果発表】

発表は「奨励賞」9人、「特別賞」1人、「優秀賞」2人、「最優秀賞」1人の順。出場者の中には、最優秀賞常連校の生徒もおり、芹川さんはその発表に感服していました。
自分の名前が呼ばれないまま進む発表に、「そんなに出来がいいと思っていなかったから、だんだんあせって足が震えそうになったので、足に力を入れました。残り1人になった時は頭が真っ白。実感がなく、どんな顔をしていればいいのかわからず、賞状をもらう時は暗い表情になってしまいました」と振り返ります。
審査委員長は、「特別賞までの4人は差がなかった」としながら、芹川さんが自分の足を使った体験から具体的に平和の良さを語ったことと、姿勢の良さ、明瞭な声を、決め手と評しました。

【関東審査を経て 全国大会へ】

全国大会は11月8日ですが、実際に発表できるのは13人。今、芹川さんは関東審査の結果を待っています。関東審査は、原稿と県大会の音声によって行われ、全都道府県の代表47名から、全国大会発表者13名が選ばれます。
「今も、千葉県優秀賞の人より自分はよくないと思っているけど、自分の気持ちを表現するのは好き」。芹川さんは選出に備えて、毎日練習を重ねています。

DSC_8849

 

【陸上でも全国大会出場】

芹川さんは、この夏、なんと陸上800mでも全国大会に出場しています。まさに文武両道です。
1年次には1500mが主体でしたが、冬季練習を経て、2年になってから2種目ともどんどん記録が伸びました。800mは1年間で14秒短縮、県大会で2分16秒42をマークし、全国出場標準記録を突破。残念ながら1500mは3秒足りず、全国切符を逃しました。
800mの全国大会は、強風のレースとなり、悔しい結果に。「来年は、表彰台、そしてその先の全国制覇を見据えます。目標は高く設定しないと叶わないから」。
9月の県大会新人戦では、もちろん優勝! しかし、一人旅になったため、記録が伸びず目標タイムを出せなかったので、笑顔がありませんでした。

1学年上には、400mで全国2位になった浮貝雅希先輩がいます。芹川さんは、浮貝先輩たちに食らいついて練習に励んでいます。「記録が伸びたのは、浮貝先輩のおかげです。先輩はすごく面白いので、苦しくても楽しく練習できます」と笑います。

【先生たちも期待】

栗原先生は、「芹川さんは何にでも前向き、向上心があり、常に高い目標を持って取り組んでいます。テスト前も疑問がなくなり納得するまで、とことん質問にきます。1年の時から根拠に基づいた説得力のある文章を書いていました。この秋からは生徒会長。遠山中を背負って頑張ってくれると期待しています」。
陸上部顧問の鈴木理恵先生も、「自分に厳しい生徒です。県新人もタイムに納得いかなかったので、闘志に火がついています。来年の全国に向けて1歩前進したので、本人が納得できるよう、もっともっと頑張ってほしい」。

あくなき向上心が、芹川さんの原動力!
いったいどこまで登り詰めるのか、今後の活躍から眼が離せません。

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。