2月24日、NARITA空港圏青年交流会主催のインバウンド(訪日観光)対応セミナー「インバウンド市場の動向と対応策」が、成田市文化芸術センター スカイタウンホールで行なわれました。
講師には、「日本のインバウンドを熱くする」をモットーに、日本全国のインバウンドビジネスに携わる企業や自治体に情報発信や研修、コンサルティング事業などをおこなっている、株式会社やまとごころ代表・村山慶輔さん。激変するインバウンド市場が観光関連業界に与えるインパクトや、チャンスをつかむために何が求められるかについて、わかりやすく解説してくれました。
インバウンドで起きている変化① 団体から個人へ
旅行会社が企画する、団体向けにパッケージされた旅行に代わって、個人が自身の趣味嗜好にあわせて観光する傾向が増えていると村山さんは指摘します。
観光客向けに、wi-fiが使える無料休憩所を設置したり、写真映えするスポットを作り込むなど、SNSで拡散されるような仕組みづくりが重要だと言います。
インバウンドで起きている変化② 都市から地方へ
現在、訪日観光の6割をリピーターが占めます。2度め以降は、購入単価が下がり、行動範囲も変わります。例えば、リンゴを求めて、青森県に行ってみたい外国人観光客が多いそうです。地方でも、自分たちの持つ資源・特産に、どうストーリー性を持たせるかが鍵となるようです。
インバウンドで起きている変化③ モノからコトへ
外国人観光客は、様々なアクティビティー(体験・活動)を、インターネットで検索し、それを目的として来日することも多いそうです。例えば刀鍛冶体験など、ニッチ(隙間)な体験が、外国人の興味をひいています。
ただ、文化体験の単価は安く、コトだけでは十分な収益を生みません。体験をフックとして、それに紐付いた物を最終的に買ってもらうような流れを作り出すことが大切です。
外国人目線を忘れずに!
村山さんは、「外国人観光客の心をつかむためには、『外国人目線で』ストーリーを考えることが重要」だと語ります。また、日本人の私たちが、外国人目線で物事を捉えるために、とにかく外国人観光客のニーズを直接聞いてみること、外国人観光客が使う口コミサイトや現地ECサイトの売れ筋をチェックすることなど、具体的なアドバイスもしてくれました。
「連携」と「共創」がキーワード!
講演中、村山さんは、日本の伝統芸能である神楽を体験するプログラムや、田園風景を走るサイクリングツアーなど、日本で外国人観光客の誘致に成功した具体的な事例を数多く紹介していました。
「最高のコンテンツは、ありのままの『自然』と『人』。これをパッケージ化し、値付けをして売れる状態=プロダクトにする。この仕組みをきちんと持っているか」と村山さんは語ります。
また、村山さんは、「ローカルな体験をしてもらうためには、現地をよく知るコーディーネーターやガイドが、これからますます不可欠な存在となってくる」と話し、「外国人観光客が、自分たちのエリアに来る(呼ぶ)ために、「連携」と「共創」が必要であり、地域全体がマーケット自体をつくり、一緒に盛り上がっていくことが大切」だと締めくくりました。