福島視察記②

 

村役場は、「今後、除染の進捗状況を見ながら、H27年秋か28年春ごろには帰村したい」と考えて、準備を進めているとのことだった。村では子どもをもつ若い世代の帰還を願っているが、希望調査では約半数の者が他地域への移転を考えていることが判明しているという。復興計画の基本理念は「村民1人ひとりの復興を目指す」。しかし除染の遅れ(道路、住居から20mの範囲を除染予定)・健康対策・行政区単位での土地利用の見直し・公共施設の整備見直し・雇用の確保と、数多くの重い課題が残っているということだった。
バスは川俣町を通り、浪江町を目指す。山間の集落には荒れ果てた無人の家も目立ち、いたるところで大きなマスクをし、厚い防護用の服を着た作業員が、手作業で除染を続けている。小川の川岸にある空き地には、黒い袋に入れられブルーシートに覆われた行き先の無い汚染土の山ができていた。時折すれ違う車は、除染関係者か青色灯をつけた防犯パトロールのものだけだ。集落のあちこちには、線量計が設置されている。我々も持参の線量計を覗きこむ。
山木屋地区に入る。やがて道の先には、頑丈なバリケードと警備の警察官が立ちはだかる。この道もここまでしか進めない。バスを降りて設置された線量計を覗くと、1.51マイクロシーベルト(地元の人は、周りを整備されてコンクリートの上に設置された線量計では、本当の値は計測できないと言う)。目の前に立ちはだかるバリケードと、目に見えない強固なバリケードに抗しきれずに引き返す。今日の泊まりは、萩姫伝説が魅力の雅な磐梯熱海温泉。ささやかな癒しの時だ。       (続く)

 

帰宅を阻むバリケード
帰宅を阻むバリケード

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。