気軽に親しもう! 演奏も交えてJAZZ鑑賞講座

2月22日、成田市玉造公民館で、成田ジャズ愛好会主催の「ジャズ講座2015『講座と生演奏でJAZZ納得!』が開催され、約70人が来場しました。設立して12年の同会は、「市民がジャズに親しめる機会を」と最近は毎年1回、コンサートか講座を開いています。今回は、実演や映像を織り込みながら、ジャズという音楽の作られ方や歴史を分かりやすく解説し、その楽しみ方を提案する企画で、講師は副会長の守橋隆史さんです。

講座は、地元で活躍するピアノトリオ「伊志松」+サックス・フルートの軽快な演奏で幕を開け、会場を一気にジャズの世界に引き込みました。

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第1部はJAZZ音楽の基本的な理論について。実演奏を交えながら、和音(4音で構成されるコード)、ブルースなどのコード進行、ブルースに使われる音(ブルース・スケール)、旋法を指定して曲を構成していく方法(チャーチ・モード)と解説され、「ちょっとした知識を持ってジャズを楽しんでください」と結ばれました。1部の最後には女性ボーカルも登場し、粋なジャズの生演奏も楽しめました。

分かりやすくまとめられたスクリーンを見ながら
分かりやすくまとめられたスクリーンを見ながら

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第2部はジャズの歴史。発祥地とされる、ニューオリンズ(ルイジアナ州)はフランス領で、ジャズ発祥にはフランスの人々が大きく関わっていること。軍港となったニューオリンズの歓楽街が衰退したことから、ジャズミュージシャンがミシシッピ川に沿って北上したこと。シカゴではアルカポネなどのギャングたちが擁護し発展したこと。カンサスシティーではスイングジャズが流行し、景気回復やダンスとの融合、ラジオの普及によって、ニューヨークとロス・アンゼルスでも大流行したこと。など、興味深い1930年代までが、まず語られました。

続いて、40年代のモダンジャズの誕生、50年代の隆盛、新しいアドリブを求めてモードとフリーがしのぎを削ったモダンジャズの円熟期60年代から、エレクトロニクス参入で多くの人が親しみやすさを感じるフュージョンに発展した70・80年代と、時代を捉えながら変化し続けるジャズの歴史が語られました。そして、ここ数年の傾向としては、過去の形式やアドリブ発達の成果などすべてを柔軟に取り入れた新伝承派が出ていること、また、若手日本人女性プレーヤーの台頭も紹介されました。

熱心にメモを取る人も
熱心にメモを取る人も

講座は、守橋さんの想像も交えた楽しいジャズストーリーで、各時代のミュージシャンたちの姿が目に浮かぶようでした。合間に紹介されるレコードは、JAZZ愛好会員により大切に手入れ、改良がなされながら今にいたる、1964年製造のJBL製スピーカーや自作真空管アンプなどのオーディオ装置によって最高の音質で再現されたため、音に乗って身体をスイングする聴講者の姿が多数ありました。

最後にジャズ初心者へのアドバイスは、「アール・クルー、リー・リトナー、グローバーワシントンJr.など、聞きやすいスムースジャズから入るのがオススメ」「スタンダード中心のアルバムを選ぶ」「演奏時間が長いものは避ける」「ボーカルものや浮遊感のあるボサノバもオススメ」「アドリブはリズムを楽しむ」「複数の演奏者が楽しめるコンピレーションアルバムで演奏者を知る」、そして、なんといっても、奏者たちの音のやりとりが観られる「ライブで生きたジャズを楽しむ」。お薦めの名盤として『カインド・オブ・ブルー』(マイルス・デイビス)・『コルトレーン バラード』(ジョン・コルトレーン)『チーク トゥ チーク』(トニーベネット&レディー・ガガ)・『スタンダーズ・ライブ!星影のステラ』(キース・ジャレット)があげられました。

講座の間、何度も大きくうなずきながら熱心に耳を傾けていた男性は「初めて来ました。よく分かりました。歴史は初めて聞いたので参考になりました。生演奏も聴けてよかった」、音楽全般が好きという女性は「歴史が勉強になりました。ジャズは1つと思っていましたが、アメリカのいろいろな地域でそれぞれ歴史があるんですね~」、学生時代にジャズ喫茶でアルバイト経験があるという女性は「『カインド・オブ・ブルー』が一発録音だったと聞いてびっくりしました。すごいですね。マイルスがジャズ界全体のことを常に考えていたことも初めて知りました」と、みなさん、初めて知るジャズの世界に目が輝いていました。

お客様を見送る伊志松の演奏は、それぞれのパートソロが入り、拍手と「アンコール!」の掛け声にどんどん盛り上がり、熱気のうちに幕を閉じました。

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。