【子どもと一緒に読みたい本・絵本】⑪「グロースターの仕たて屋」

子育て奮闘中!のママが「子どもと一緒に読みたい本」「本当に子どもにうけた楽しい絵本」を紹介します。


★グロースターの仕たて屋(ビアトリクス・ポター作/福音館書店)

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ピーターラビットシリーズの一冊。
福音館書店の絵本集では第5集に収録されているのであまり知られていませんが、初版は1903年で、『ピーターラビットのおはなし』『りすのナトキンのおはなし』に続く、3番目の本としてイギリスで出版されました。

Bunkamuraザ・ミュージアムで、10月11日(火)まで開催中の、朝日新聞社ほか主催「ピーターラビット展」では、草稿とともに、作者が「仕たて屋がお気に入りだったので、十二分に研究した」作品と紹介されています。

昔、グロースターの町に、貧しい仕たて屋がいました。
仕たて屋は、市長から婚礼のための衣装を頼まれるのですが、熱を出し、寝込んでしまいます。
ところが夜中にねずみたちがやってきて…
クリスマスの朝に起きた奇跡のお話です。

子どもの頃、ピーターラビットシリーズの中で、一番好きな絵本でした。
ねずみたちが、小さな手で縫い物をしている様子や、仕立てられるチョッキの刺繍が可愛らしく、乙女心を奪われました。

ピーターラビットシリーズといえば、イギリスの湖水地方の、豊かな田園風景が数多く描かれていますが、この絵本の繊細かつ正確な描写で描かれた衣装や仕たて屋の挿し絵は、他のシリーズとは一味違った魅力があります。
いとこを訪問したときに、耳にしたお話が元となっているとのことですが、作者が描く個性豊かなキャラクターたちによって、より楽しいお話となっているのではないでしょうか。
飼い猫シンプキンが、ネズミを逃がされたことに腹を立て、最後のお金で手に入れた、あな糸を隠してしまう様子にハラハラしたり、ネズミたちが縫い上げた上着とチョッキに、「あな糸が足りぬ」と小さなメッセージを残すのに笑ったりと、何度読んでも飽きない作品です。(M)

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。