ぴーぷる 中学陸上全国大会400m準優勝! 浮貝雅希くん(遠山中)

 

8月に北海道で行われた「第42回全日本中学校陸上競技選手権大会」男子400mで準優勝、200mで準決勝進出を果たした浮貝雅希くんは、成田市立遠山中学校の3年生です。

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小学校時代「6年生でやっとリレーの選手になれた」
本城小学校時代は、学校以外でスポーツは何もやっていなかったという浮貝くん。
「足も特に速くなくて、6年生でやっとリレーメンバーに入れたくらい」というから驚きです。
メンバーとして出場したリレーは、二部会は通過しましたが、郡大会は予選落ち。
個人種目は1000mに出ていました。
15位までが入賞の成田市ロードレース大会は、「10番台の入賞でした」。

遠山中学校で陸上部に入部
陸上部のデビュー戦は、第2ブロック大会の100mで、13秒10の6位。秋の佐倉近隣大会から200mにも出場しますが、1年次のタイムは26秒台中盤でした。

成長のカギは冬季練習と、県大会で通用しなかった悔しさ
ひと冬越えた2年春の初戦。
100mが12秒09、200mが24秒34と、冬季練習の成果が一挙にあらわれます。
2年次は、100m11秒台後半、200m24秒前後を推移し、県大会出場標準記録を突破し始めます。
しかし、実は1年の途中から股関節の痛みに悩まされてきた浮貝くん、県大会がうまく戦えず、「通用しませんでした」。
この悔しさが、精神面に火をつけます。「3年でリベンジする!」。
全国大会への強い気持ちが芽生えました。

ケガの功名 長距離練習
2年秋のシーズンまでは、股関節の痛みを、だましだまし、練習と大会に臨んでいましたが、オフになると、短距離の練習が難しくなってしまいました。
そのため冬季は長距離的な練習に取り組むことに。
しかし、この冬季練習こそが、その後の浮貝くんの急成長に結びつきます。

400mデビュー戦 いきなり大会新で全国大会標準記録も突破!
走力がアップし、持久力がついた浮貝くんは、3年春の北総大会で200mと初めての400mに出場。
そして、なんと、400mデビュー戦で51秒30の大会新記録をたたき出し、一挙に全国大会出場標準記録51秒70まで突破してしまったのです!
「初めての400mで、走れるのかどうかもわからず、余裕がなかったので、結果を見て、自分でも半信半疑、ビックリしました」。

しかし、全国大会に出場するには、2つの県大会どちらかで標準記録を突破しなくてはなりません。
その後も安定した記録をキープし、7月の県通信大会の51秒11で全国切符を手に入れました。

200mの全国切符は7月末の県総体
200mの全国標準記録22秒75を突破したのは、7月の郡総体の22秒46。
この大会では久しぶりに出場した100mでも11秒35をマークしています。

続く県総体の200mで、さらに22秒42と更新し、2種目で全国大会出場権を得ました。

 

関東大会でワンランク上のステージに
400mは51秒を切るのがなかなか難しい状態のまま、関東大会に臨みましたが、ここで一気にブレイク!
予選50秒26、決勝49秒82の3位で、それまでの自己ベスト51秒03を大幅に更新しました。
ライバルと真剣勝負の「大会は究極の練習」と考える顧問の鈴木理恵先生。
浮貝くんの400mも、大会ごとにいろいろなレース展開を試したといいます。
関東決勝は、前半をとばし、中盤にきつくなりましたが、最後に頑張ってまとめたというレース展開でした。

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全国大会200m
いよいよ全国大会です。
200mは予選を22秒19で通過し、準決勝は22秒07。
惜しくも100分の1秒差で決勝進出を逃してしまいました。
それでも、「200mは予選突破もできないと思ってたから気楽でした。100分の1秒は悔しさもあったけど、ホッとするところもありました」。
翌日の400mに専念することになります。

全国大会400m ラスト50mの圧巻スパート
「400mは、何が起こるかわからない。その時その時のベストを尽くそう」とレースに臨みます。
「予選は関東大会通りに走れれば通過できる」とスタートラインに立ちましたが、「緊張して身体が硬くなり、前半が遅くなってしまって、ギリギリ1位」の50秒31。
準決勝は予選の失敗を生かし、「身体をスムーズに動かして、前半とばせるように意識して走り、最後の最後に抜け出せました」と49秒74の自己新で突破します。

そして迎えた決勝は6レーン。準決勝で6人が49秒台をマークしたハイレベルな戦いです。
「雰囲気にのまれた」といいますが「あせると動きが固くなる」と集中し、「オン・ユア・マーク・・・セット・・・」、「パーン」。レースが始まりました。
100m、200mを想定内のタイムで通過しますが、全国大会の決勝です、他の選手が前半から飛ばすレース展開。第3コーナーあたりで、優勝した5レーンの選手に並ばれ、抜かれ、一時は5位に。
鈴木先生と振り返るのは、ここでの選択でした。
並ばれた時に競るか、あせらず我慢するか。
このレースは我慢を選び、ラスト勝負にかけ、この後もスピードを上げるタイミングを少し遅らせました。
そしてカーブで1人抜き、最後の直線に入った時点では4位。
ここからが怒涛の追い上げです。
医学的にいちばんキツイ短距離走とされる400m最後の直線、172㎝53㎏の華奢な身体の、どこにこんなパワーが残っていたのだろうという力強い加速を見せ、「スピードに乗れたのがラスト50m」という、解説者の声がハイトーンになるほど異次元の追い上げ、1位をも脅かす勢いで、49秒42の自己ベストでゴール! 2位をもぎ取りました。
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研究熱心でストイック
鈴木先生の浮貝くん評は「研究熱心。陸上関係の本や番組を網羅し、人の記録まで頭に入っています。練習はストイック。周りに左右されず、真面目に黙々と取り組みます。大会ではレースの組み立てを自分でよく考え、イメージできる選手」。
その結果、「今年の県通信大会から、どんどん記録が伸び続けているのがすごい」と、先生も目を丸くします。
学校生活では、学級委員長、学年評議委員長も務めます。

これから
冬季練習の大切さはわかっています。この冬には、駅伝にも出るそうです。
「今年も冬季練習を頑張って、高校につなげていきたい。1年生から活躍できるように。インターハイに出たいです」。
華奢な身体と、試験段階のレース展開には、まだまだ未開発な可能性が秘められているようです。
来春、高校生になった浮貝くんが、ますます楽しみです!

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。