成田の文化財を守って60年  成田市文化財保護協会 記念式典

12月6日、メルキュールホテル成田で、成田市長、成田市議会議長、教育長、生涯学習課長、記念講演講師の大塚初重明治大学名誉教授を来賓に迎え、成田市文化財保護協会創立60周年記念式典が行われました。

同協会は、成田市の貴重な文化財を保護するとともに、歴史・文化財などを調査・研究する市民団体。学者や研究者だけの専門団体ではなく、歴史や文化財に興味のある方々、また郷土の伝統的な芸能を守っていこうとする方々などが集まり、文化財の保護について考え、学ぶ会です。12月6日現在、会員は団体・個人あわせ210。1年を通じ、総会、歴史講演会・史跡めぐり・博物館めぐり各2回、古文書から成田の歴史を学ぶかい3回、『成田史談』の発行、文化財説明板・標柱などの設置、各種文化財調査と研究などを行っています。

協会の発足は昭和51年ですが、その前身は成田市が誕生した昭和29年に会員36名で始めた「成田史談会」です。昭和38年には東関東初、古墳時代の玉作遺跡を発見し、千葉県の考古学史上に輝かしい1ページを飾りました。年1回発行してきた『成田史談』は、考古・歴史・民俗・自然などをはじめ、幅広い分野と豊富な内容で、常に郷土史の先駆的な役割を担ってきました。『成田市の古墳群』『大慈恩寺特輯号』などの特別号も発行しています。永年にわたる様々な文化財保護活動への功績が認められ、平成10年には千葉県教育功労者表彰、同16年には文部科学大臣表彰を受けています。

あいさつに立った、8代目となる小倉博会長は、歴代の会長を紹介、協会のこれらの歴史を振り返り、「みなさん、お身体に留意して健康でいてください。そして10年後の70周年を迎えてください」と締めくくりました。

あいさつに立った小倉博8代目会長
あいさつに立った小倉博8代目会長

続いて、協会の支援に尽力した4団体、成田山新勝寺・宗吾霊堂・成田山霊光館・米屋(株)に感謝状が贈呈されました。そして、在籍年数50年以上5名・40年以上9名・30年以上17名の会員が表彰されました。表彰者代表謝辞では、「会員となった60年前、二十歳そこそこの歴史ボーイでした。故・大野政治先生について勉強したことが昨日のようです。文化財めぐりが待ち遠しかった」と印象深いエピソードが語られました。小泉一成市長と上田信博市議会議長からは、協会の並々ならぬ尽力と功績に対する大きな賛辞と感謝の言葉が贈られました。

記念講演は、成田市民でもある考古学界の第一人者、登呂遺跡や虎塚壁画古墳など日本各地の重要遺跡の発掘を手掛ける大塚初重先生の「古代の天皇陵と成田の古墳」。応神、仁徳、天武・持統、推古、用明天皇陵とされる各天皇陵の馬具や埴輪など出土品や、陵の大きさ・形状の変遷からの時代考証を展開し、成田の公津古墳群と栄町の日本最大方墳・岩屋古墳を比較しました。88歳の大塚先生は「私の目の黒いうちに、船塚古墳(赤坂公園内に位置する成田市最大の前方後円墳)を発掘できないかな。成田の力で古墳を解明してください。天皇陵と成田の古墳は歴史的関係があるので、大切にしてください」と締めくくりました。一般市民も自由に聴講できる貴重な機会ということで120名が古代に思いを馳せ、成田の文化財を守り続けていく思いを強くしました。

興味深い大塚先生の講義
興味深い大塚先生の講義

 

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。