認知症になってもくじけない!当事者が笑顔でトーク♪ キャロットカフェ

9月2日(土)、成田富里徳洲会病院多目的室で、キャロットカフェ講演会「いま認知症の人から、これから認知症になる私達へ」が開催されました。

【キャロットクラブ】

主催したのは「キャロットクラブ~認知症になっても安心して暮らそう会」(岡寿子代表)。
認知症の啓発活動、認知症になっても安心して住める街づくり、認知症サポーターの養成を目的とし、2015年2月に発足した富里市のボランティア団体です。

【介護予防、認知症予防体操】

プログラムの最初は、同院理学療法士・斎藤剛史氏による「家庭でできる介護予防体操紹介」。
認知症の完ぺきな予防法はありませんが、有酸素運動が脳の機能低下を遅らせること、たとえばウォーキングをしながら計算やしりとりをするなど、身体と頭を同時に使うとさらに効果が高まることが話されました。
認知症予防には、早歩きで5000歩、7,5分以上、週に数回実行すると効果が期待できるそうです。
また誤飲予防にもなる口の筋肉トレーニング「パタカラ体操」も紹介されました。
できるだけ大きくはっきりと「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音すると、それぞれ舌や唇の動きの違いから、しっかりと食べられる筋肉を作ることができるそうです。

指回し体操、タオルや新聞紙を使ったトレーニングも紹介され、30~40代から運動不足の人は20~30年後に認知症になる確率が高いとの説明に、参加した80名の皆さんは熱心に聴き入り、練習していました。

【DAYS BLG!】

続いての講師は、認知症の方々が利用する小規模デイサービス「DAYS BLG!」(町田市)の理事長を務める前田隆行さんと、メンバー(利用者)である認知症当事者の村山明夫さん。


「DAYS BLG!」は、認知症になっても《社会とのつながり》《労働して報酬を得る》ことが大切との理念から、認知症に対する世の中の偏見を取り去り、会社や社会と認知症の方々をつなぐ活動に力を注いでいます。

【認知症でも人生は面白い】

村山さんは62歳の時に、異変を感じた看護師である奥様に勧められ受診し、「アルツハイマー型認知症」と診断されました。
診断された時のショック、認知症になったら人生は終わりだと思っていた過去から、認知症でも人生は面白いと思えるようになった現在に至るまでを、笑顔で語りました。

道が分からなくなって自宅に戻れず、防災無線で町中にお知らせされたこと3回。
オリジナルの地図を作り、それ以外の道は通らないという工夫をしたところ、「防災無線で呼ばれなくなりました(笑)」。

日常生活は、洗車のアルバイト、小学校での認知症についての講演、パソコン教室、カラオケランチなど、活動的。
昨年は沖縄に旅行、今週にはフランス旅行に行かれるそうです。

「DAYS BLG!は仲間がいる場所」と話す村山さん。
男性が多く、80~90代の先輩もいて、「みんな明るいですよ」。
前田さんは「現代では3秒に1人が認知症になっています。認知症と診断されても、すぐに忘れたり何もできなくなるわけではありません。成田でもBLGみたいなところを作ってみようかな、どうしたら地域でこの活動ができるかなと考えてほしい」と話し、村山さんは「認知症になってもくじけないで頑張りましょう」と、トークを締めくくりました。

【質疑応答も活発】

最後に設けられた質問タイムには、多くの手があがりました。


「どんな支援が欲しいか?」には「悩みを聴いてくれる人」と即答。
「家族に受診を勧められた時、もめませんでしたか?」には「相手は看護師ですから誤魔化しようがありませんよね」と笑いながら答える村山さんでした。
前田さんによると、やはり受診を勧めても認知症と認めたくない気持ちから拒否されることは多いとか。
「いちばんいいのは仲間同士で話すこと。忘れちゃうこともあるけど楽しく生きていけると先輩が言うのがいちばんです。当事者同士が話せる場所を作ることですね」。

前田さんたちは1年に1回、看護師さんに悩みを聴いてもらえる「ナースカフェ」も開設しています。
「白衣を着た看護師さんにだと話をしやすい。最初はいかがわしいカフェと勘違いされて地域に反対されましたが(笑)」。
アルコールも出すので話が弾み、「じゃあ2人で受診してみるか」「ついて来てくれ」となった例もあるそうです。

【2025年には700万人が認知症】

聴講した2人連れの女性は「ご自分が認知症だと発表される勇気がすごい。自分たちは元気なので今は深刻に受けとめていないけれど、3秒に1人が認知症になる時代。こういう講演を受講して意識を高めることも大切、病院に行く勇気を持つことも大切だと思いました」、「2025年には700万人が認知症、75才以上の4人に1人が認知症になるといわれています。その頃はいろいろなサービスも受けられなくなります。我が身のことだから、もっと地域で勉強し、考えていかないといけないと思いました」と話してくれました。


《取材雑感》
最近子どもたちから「昨日言ったでしょ!」と言われることが多くなった我が身。
「30代~40代が運動不足」もビンゴです。
認知症への不安が我が事となっていましたが、頼まれた買い物を忘れちゃったなど失敗も、とにかく終始笑顔で明るく話す村山さんと、認知症を特別視しないふんわり穏やかなDAYS BLG!前田さんの雰囲気に、認知症へのむやみな恐れが薄められた思いがしました。
もちろん予防は自分自身が努力しないといけないことですが、認知症になっても地域や社会とつながるのは、一人では難しいことです。
地域まるごとで熟成していかないと・・・と強く感じました。


★キャロットクラブの活動★

キャロットクラブは、毎月第3日曜日10時~12時、成田富里徳洲会病院で「キャロットカフェ」(認知症カフェ)を開催しています。
お気軽にご参加ください。

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。