「君はなぜ大学に行くのか」 成田高校進学講演会で1年生が意識改革!

【高1対象の進学講演会】

気持ちの緩みが始まりがちな高校1年の3学期、成田高校では1年生を対象に、進学講演会「自分の将来を考えてみよう。君はなぜ大学に行くのか」が行われました。

【講師は異色 元高校教師の大学教授】

講師は山形大学工学部教授の門馬甲兒(もんまこうじ)先生です。
門馬先生は、元高校教師。
進路指導を担当していましたが、大学で仕事をするようになったことで、高校教員時代に分かっていなかったことがあったことに気付きます。
貴重な高校・大学両方の教員経験を活かし、近年は全国の高校で多数の進学講演会を行っています。

講演後、生徒の質問に答える門馬先生

【親世代とは違う 厳しい将来を生きるために】

高校は中学の4倍の学習内容があることから、早めに手を打たないと大学受験勉強だけでは時間が足りないこと、
国・数・英に不得意があると、2年、3年、受験と、どんどん厳しくなるので、2年生になるまでの残り2か月間で、不得意科目を不得意ではないレベルにまで戻しておくこと、
などを、赤点を取ったり浪人したりした、ご自分のお子さんのレアな例を交え、説明することから講演は始まりました。

少子高齢化が進み、人口の減少が著しい日本では、親世代の歩みはモデルにならないこと、
大学進学率が上がり、大卒歴が人生のパスポートになった時代は終わっていること。
そして、これからは世界を相手に仕事をしなくてはならない時代になり、英語が重要になる。
福祉・年金・医療などが崩壊する可能性があると専門家が分析している2030年問題を前に、自分の進路を適当に考えてはいけない。
また、高校と大学の違いを認識し、大学では主体的に課題を発見し解決する能力をつけなくてはならないことや、
文系と理系の難易度、就職との関係、大学の時間割や授業料の違い、S・T比(学生と教員の比率)、学部別退学率など、大学の具体的内容について説明がありました。
一方、受験には素直さが必要で、答案用紙にも面接などの試験にも「人間性」が出ることや、
高校の授業で習った内容は、どの教科も就職のSPI(総合適正検査)に出題される可能性があることなどが、スクリーンに映し出される具体的な資料にそって、次々と話されました。

最後は「今日の講演を聴いて刺激になったとしても、人に与えられたものは、長くて3日しかもちません。
今週中に、先生方に質問に行くなど、行動に移してください!」と締めくくられました。

【気持ちを引き締めた生徒たち】

約2時間弱の講演を聴き終わった生徒たちは、大学、就職、自分たちが生きる未来の知識が増えたことにより、ずいぶんと気持ちを引き締めたようです。
「1年生のうちに聴けてよかった」
「大学がゴールではなく、その先を見据えないといけないことが分かった」
「これから自分たちがどういう時代に生きていかなくてはならないか、しっかり伝えてくれてわかりやすかった」
「難関大学に行ったからといって就職が良いとは限らないことが分かった」
「親の時代と自分の時代はすごく違うことが分かった」
「このままなんとなく高校生活を送って、なんとなく大学に行くのはダメだ。意識を変えていこうと思った」
「だらけていた心に刺さりました」
「人間性を向上させていきたい」
「グラフや数字に衝撃を受けた。今までの講演会とは違う切り口、きれいごとじゃない本質を知った」
「英語の大切さ、世界に目を向けないといけないことが分かった」
「高校1年の授業が就職にも必要だと知り、授業が大切と言われることの実感が沸いた」
「大学のイメージが鮮明になった」
「危機感を感じ、計画的に勉強しようと思った」
「世界情勢を知ることができ、意欲が高まった」
「大学に入って、何をやりたいかを明確にする」
「意思を持って勉強し、大学に入ってから勝負できるように頑張る」
など、感想文には、様々な気づきがあった中身の濃い内容が多数書かれていました。

【講演会企画の意図と手ごたえ】

今回の講演会を企画した高1学年の宮永厚教諭は、
「1年生のこの時期に、2年生に向けて何のために勉強するのかを見直してほしいと企画しました。
大学は偏差値が高ければ良いとみられがち。
生徒もむやみに難関大学を目指しがちです。
しかし、その先の社会が求めている人材は何か、そして本当に学びたいことは何か、将来を自分で考えて、目的意識を持って勉強しないと厳しい現実が待っています。
我々には、それをきちんと伝える責任があります。
1年生で既に研究に関心を持っている生徒はおりますが、まだ多くははっきりしていないのが現状です。
昨年、門馬先生を紹介していただき、将来のことを生徒たちに分かりやすくお話しくださる先生だと感じ、入試直前のお忙しい時期に無理を承知でお願いしました。
門馬先生には大変感謝しております。
生徒たちはよく聴いてくれて、感想の中にも、自分の将来を見据えようという言葉がありました。
これを機に、全員が自分に置き換えて、何を学び研究したいのか、そしてそれを実現できる環境はどこなのか、主体的に考え、行動に移してほしいと思います」
と手ごたえを口にしました。

【取材を終えて】

門馬先生のお話は、保護者にとっても非常に有意義な内容だと感じました。
自分たちの生きてきた右肩上がりの時代と、子どもたちがこれから生きていく時代の違いを、保護者としてもしっかり認識していないと、ミスリードしかねないと痛感しました。
多くの高校生と保護者の方に、資料を読んでいただきたいと思います。

【門馬甲兒先生 進学講演会 資料】

門馬先生の講演は「夢ナビ動画」でも見ることができます。
ログイン後に、先生名「門馬甲兒」で検索。
動画タイトルは「日本の将来、自分の将来を考えてみよう」「君はなぜ大学に行くのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

Keitaro Sasaki

Keitaro Sasaki

千葉県成田市在住。成田エリア新聞(紙面版)編集長(2008-2014)以後はオンライン版の当サイトにて成田の情報を発信しています。成田を盛り上げるため、いろんなところに首を突っ込んでいます。